2025-11-13

7日、食文化イベントの会場。(長沙=新華社配信)
【新華社長沙11月11日】二十四節気の一つ「立冬」に当たる7日、中国湖南省長沙市で食文化イベント「馬王堆(ばおうたい)の古代美食を再現する立冬の宴」が開催された。「漢風食韻、承古啓今」(今に受け継ぐ漢代の風味)をテーマとし、漢代の書籍に記された食材の組み合わせや養生の理念を、現代の料理言語で再解釈した。どの料理も市内の前漢時代の墓葬群「馬王堆漢墓」に見られる漢代食文化の知恵に深く根ざし、立冬にふさわしい冬の養生法「養蔵(ようぞう)」を取り入れ、充実した内容となった。
宴会の料理長を務めた余宗義(よ・そうぎ)さんは、馬王堆漢墓と聞けば世界を驚かせた遺物の数々を思い浮かべる人が多いと思うが、出土した「養生方」や「五十二病方」などの古典には「薬食同源」という古代人の生活の知恵が秘められており、養生の理念が日々の食事に溶け込んでいたことが分かると紹介した。

7日、漢代の食器を模した料理「梅菜黒豚土猪肉蝴蝶夹(ばいさいこくとんどちょにくこちょうきょう)」。豚バラ肉の皮を焼き、茶油で揚げ、豆豉(トウチ)で蒸し煮込みにするという古代の味を再現。漢代にはすでに肉を蒸す、揚げるなどの調理法が存在していた。(長沙=新華社配信)
余さんは、どの料理も古典文献に記された食材と調理法を千年後の現代に合わせて進化させたと強調。漢代の風雅な味を再現しつつ、現代人の健康志向と味に対する美意識にも配慮したと述べた。
歴史文化学者は今回の試食の宴について、古代と現代をつなぐ味覚の饗宴であり、食文化の再現にも成功したと指摘。2千年の眠りから目覚めた漢代の食養生の知恵が現代の食卓によみがえり、湖南料理の革新と発展、湖湘文化(湖南文化)の継承に新たな活力を吹き込んだと評した。

7日、食文化イベントの様子。(長沙=新華社配信)
馬王堆漢墓は1972年から74年にかけて発掘された。前漢初期の諸侯国「長沙国」で丞相(じょうしょう)を務め、軑侯(たいこう)に封じられた利蒼(り・そう)一家3人が眠る墓で、20世紀の世界的に重要な考古学的発見の一つとして知られる。(記者/張格)

7日、古代のレシピにのっとって調理するシェフ。(長沙=新華社配信)

7日、馬王堆の湘繡(しょうしゅう)錦箱を模した料理。漢代風のかんざしを串に見立て食材を通している。(長沙=新華社配信)

7日、前菜「雪影椒香鮑参脯(せつえいしょうこうほうじんほ)」。「立冬」の趣を「雪影」のイメージで表現し、馬王堆漢墓から出土した遣冊(けんさく=副葬品の目録)に記された燻製(くんせい)や塩漬けと組み合わせている。(長沙=新華社配信)

7日、古代のレシピに従って煮込んだスープ「山湖椒清湯灼牛肉(さんこしょうせいとうしゃくぎゅうにく)」。(長沙=新華社配信)

7日、「馬王堆の古代美食を再現する立冬の宴」に出されたお菓子。(長沙=新華社配信)
記事出処:新華社