2026-03-16
一見してそれほど目を引かない変圧器(トランス)が、今や海外市場で引っ張りだこになっている。税関総署のまとめたデータによれば、2025年の中国製変圧器の輸出額は前年同期比約36%増の646億元(1元は約23.1円)に達し、1台あたりの輸出価格は前年同期から約3分の1上昇して20万5000元になった。変圧器メーカーの多くが大量の受注を抱え、一部のデータセンターからの受注は2027年分までいっぱいだという。人民日報が伝えた。
メイド・イン・チャイナの変圧器が海外で好調な売れ行きを見せているのはなぜか。直接の原因として挙げられるのは、グローバル市場における旺盛な需要が、変圧器産業への追い風となっていること、欧米などの先進国の電力網設備が更新の時期に入ったこと、新興市場国の電力使用量が増加し、クリーンエネルギー発電の割合が高まり、電力網の投資・配置ペースが加速していること、海外データセンターなどの計算能力インフラの建設が加速していることなどだ。こうしたさまざまな需要が積み重なって、変圧器の輸出増加を促進した。
さらに考察を進めると、成長産業として各国の企業が同じ土俵で競い合う中で、中国が抜きん出て世界一の変圧器生産国になったのはなぜだろうか。それには3つの理由がある。
1つ目の理由は「スピード」だ。これは、産業チェーンの密接な連携によって可能になった。
銅材料やアルミ材料などの原材料から、鉄心やタップチェンジャーなどの部品に至るまで、中国は世界で最も整った変圧器生産システムを構築しており、生産能力は世界の約60%を占める。川上から川下までが緊密に連携し、産業チェーンは自主コントロールが可能であることが、中国企業の市場ニーズの変化への迅速な対応を可能にし、納期は欧米メーカーの18ヶ月~2年よりもかなり短い。
2つ目の理由は「適切な対応」だ。これは、市場ニーズを正確に把握し応える能力によって可能になった。
イノベーションは技術の高度化だけではなく、市場ニーズに対する製品の動態的で適切な対応にも反映される。欧米市場の環境保護ニーズに特化して植物油変圧器を開発したり、データセンターの応用ニーズに合わせて場所を取らない高効率の固体変圧器(SST)を開発したりと、市場が求める分野でブレークスルーを果たし、オーダー生産を通じて、高付加価値の精密製品を生み出すことで、中国の変圧器産業は顧客の抱える問題を解決しながら急速に成長してきた。
3つ目の理由は「バックアップ」だ。これは、中国国内市場で豊富な応用シーンが提供されたことによって可能になった。
応用シーンは重要かつ希少なイノベーションの資源だ。中国の電力網の高度化・改良、計算能力インフラの建設などは、変圧器企業が技術の難関を攻略するための「トレーニング場」となった。第14次五カ年計画(2021~25年)期間に、国家電網公司は「八交八直(8本の交流送電線と8本の直流送電線からなる大規模な送電ネットワーク)」の特別高圧電力プロジェクトを完成・稼働させ、中国が特別高圧電力、スマート変圧器などの分野で技術に関する主導権を得られるようバックアップした。
中国の変圧器の海外での好調な売れ行きを考察してみると、外部環境の急激な変化がもたらす不確実性に直面する中で、産業の基盤、イノベーションの原動力、豊富な応用シーンという優位性があったからこそ、中国企業は十分な自信を持って国際競争に乗り出すことができたということが分かる。
「人民網日本語版」2026年3月16日