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渡頭古城遺跡で東呉の簡牘1万点近くが出土 湖南省

2024-01-02

渡頭古城遺跡の発掘エリア。(資料写真、郴州=新華社配信)

  【新華社長沙12月25日】中国湖南省文物考古研究院は、同省郴州(ちんしゅう)市臨武県にある渡頭古城遺跡で三国時代の東呉の簡牘(かんどく、文字を記した竹や木の札)1万点近くが出土したと発表した。中国古代の中央政権による南嶺地域(中国南部の南嶺山脈以南)の開発や統治を研究する上で重要な資料となる。

  遺跡は同市臨武県汾市鎮渡頭村を流れる武水河の南岸に位置し、渡頭古城を中心に周辺の墓群を含む城邑(じょうゆう)集落を形成している。同地は漢代から六朝時代の臨武県治(県庁)所在地で、遺跡には古城址(官庁区)や住民生活区、手工業区、墓地が含まれる。東呉の竹簡は古城址にある二つの古井戸から出土した。

  湖南省文物考古研究院渡頭古城遺跡プロジェクトの責任者、陳斌(ちん・ひん)氏によると、古城址の平面プランは正方形で1辺の長さは約100メートル。周囲は堀で囲まれていた。古城址の北東約300メートルの地点では住民生活遺跡、北西約10キロの地点では鉱物採掘・精錬遺跡が見つかった。古城址周辺の低い丘の上には前漢から六朝時代の墓地が複数分布し、概算で約400基と推計される。

  古城址の中央部と北西部からは南西方向の大型の長方形建築跡が出土し、基礎坑や門道、道路、井戸、人の活動痕跡などが良好な状態で残されていた。六朝時代の重要な官庁建築の基礎部分と暫定的に判断され、建物跡の内部と付近の井戸から東呉の竹簡や木簡、木牘、簽牌(せんはい、書物の題名を記した板)、封検(書物の封印に用いた板)、削衣(木簡を修正や再使用するために表面を削った際の削りかす)など1万点近くが出土した。内容は県の行政区画や課税、戸籍、屯田、採鉱・精錬などにわたり、東呉時期の官府の帳簿や公文書とみられる。

  陳氏は同遺跡について、現在の湖南、広東両省を結ぶ湘粤(しょうえつ)古道の中で最も保存状態の良い城邑集落遺跡であり、代表的な「嶺南型」城址の一つだと説明。漢代から六朝時代の地方都市の発展と管理、変遷を示す貴重な縮図だと語った。

渡頭古城遺跡から出土した簡牘。(資料写真、郴州=新華社配信)

  記事出処:新華社